避難安全性能検証
建物内からの避難安全性能を、性能的に検証するための設計手法です。
① 避難安全性能検証の概要
平成12年の改正建築基準法により防火関係の基準が性能規定化され、避難安全関係では下記の3つのルートを設計者が選択できるようになりました。
ルートA:従来からの仕様基準に適合させる方法
ルートB:国土交通大臣が定めた避難安全検証法により性能を確認する方法
ルートC:高度な検証法を用いて性能を確認し国土交通大臣の認定を受ける方法
避難安全に関わるルートBによる設計では、国土交通大臣が定めた告示に示された避難安全性能検証法により性能を検証します。この性能が検証されることにより、建築基準法・同施行令に示された避難階段の構造や排煙設備などの避難関係規定に合致することと同等の性能があると認められ、これらの規定の適用が免除されることになります。
② 区画避難安全検証、階避難安全検証および全館避難安全検証
上記ではルートB設計法に適用する手法を「避難安全検証法」とだけ述べましたが、詳細には「区画避難安全検証法」(令和2年国土交通省告示第509号(参考:ビューローベリタスジャパン株式会社ホームページ(区画避難安全検証法の概要))、「階避難安全検証法」(令和2年国土交通省告示第510号(平成12年建設省告示第1441号の改正))および「全館避難安全検証法」(令和2年国土交通省告示第511号(平成12年建設省告示第1442号の改正))の3つに分けられています。「区画避難安全検証法」は、検証対象区画内から検証対象区画の外への安全な避難が可能であることを検証する方法であり、「階避難安全検証法」は、火災階からの安全な避難が可能であることを検証する方法であり、「全館避難安全検証法」は火災が発生した建物全体からの安全な避難が可能であることを検証する方法です。
これらの検証適用時には、例えばある階だけ「階避難安全検証法」を適用し、他の階はルートA(仕様規定)による従来の方法で設計することも可能となっています。また階の一部あるいは1つの居室に「区画避難安全検証法」を適用し、その他の部分をルートAによる設計とすることも可能となっています(参考:一般財団法人 日本建築総合試験所ホームページ(区画避難安全検証法の概要について))。
なお、各々の検証法により性能確認ができた場合の適用除外となる項目は以下の通りです。
項目 | 条 | 項 | 規定概要 | 区画避難 安全性能を 有するもの |
階避難 安全性能を 有するもの |
全館避難 安全性能を 有するもの |
---|---|---|---|---|---|---|
防火区画 | 112 | 5 | 11階以上の100m2区画 | - | - | ○ |
9 | 竪穴区画 | - | - | ○ | ||
12 | 異種用途区画 | - | - | ○ | ||
13 | 異種用途区画 | - | - | ○ | ||
避難施設 | 119 | 廊下の幅 | - | ○ | ○ | |
120 | 直通階段までの歩行距離 | - | ○ | ○ | ||
123 | 1 | 避難階段の構造 第1号 耐火構造の壁 第6号 防火設備 |
- | - | ○ | |
2 | 屋外避難階段の構造 第2号 防火設備 |
- | - | ○ | ||
3 | 特別避難階段の構造 第1号 付室の設置 第11号 付室等の面積 |
- | ○ | ○ | ||
第9号 防火設備 | - | ○ | ○ | |||
124 | 1 | 物品販売業を営む店舗におけ る避難階段の幅 第2号 階段への出口幅 |
- | - | ○ | |
屋外への出口 | 125 | 1 | 屋外の出口までの歩行距離 | - | - | ○ |
3 | 物品販売業を営む店舗に おける屋外への出口幅 |
- | - | ○ | ||
排煙設備 | 126-2 | 排煙設備の設置 | ○ | ○ | ○ | |
126-3 | 排煙設備の構造 | ○ | ○ | ○ | ||
内装制限 | 129 | 特殊建築物の内装(第2,6,7項および 階段に係る規定を除く)、 自動車車庫等、調理室等 |
○ | ○ | ○ |
③ ルートBに追加された検証方法
令和3年国土交通省告示第474号、第475号および第476号が公布・施行され、前述した従来のルートBとは別に、火災により生じた煙又はガスの高さに基づく算出方法が定められました。この新しい算出方法はルートB2(煙高さ判定法)、従来の算出方法はルートB1(煙降下時間判定法)と呼ばれています。
ルートB2に関する解説書などはまだ発行されていませんが、弊社なりに法文を解釈し実案件に適用・運用できるよう準備を進めています。
弊社はこれらに係わる業務をご提供いたします。
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